「漫画は紙で買うべき?それとも電子?」
そんな問いの裏側には、作者さんに少しでも多く還元したいという思いがあるかもしれません。
好きな作品をこれからも楽しみたい、その気持ちはとても大切なものだと思います。
この記事では、漫画家さんに支払われる印税の仕組みや、紙と電子での収益の違いをわかりやすく解説します。
あわせて、作品購入以外にもできる応援の形についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

イロ
KIDUKE MANGAで、主に電子漫画の疑問や悩みについての記事を担当する「イロ」です。
どの買い方・関わり方が、より直接的な応援になるのかを一緒に見ていきましょう。
漫画家さんに支払われる印税の基本
漫画を買うことで、どれくらい作者さんに還元されるのか?
まずは、そもそも印税とはどんな仕組みなのかを解説します。
印税とは何か?基本的な仕組みを整理
漫画の印税とは、作品が売れた際に作者へ支払われる報酬のことです。
通常、出版社と漫画家の間で取り決めた印税率に応じて、販売価格や部数に基づいて支払われます。
たとえば印税率が10%であれば、単行本1冊500円(税抜)の売上に対して50円が作者に渡るという仕組みです。
この印税は、出版契約の内容や媒体(紙/電子)によって変動する場合があります。
漫画家の収入における印税の割合
漫画家の収入は、原稿料・印税・グッズ・メディア展開など多岐にわたりますが、単行本の印税はその中でも大きな柱のひとつです。
特に連載が終了した後も売れ続けるロングセラー作品では、印税が長期的な収入源になることもあります。
一方で、売上が伸びなければ印税収入もごくわずかとなるため、実力や人気による格差が大きいのが現実です。
紙の単行本からの印税収入
ここからは、紙の単行本における印税収入の仕組みを詳しく見ていきます。
「どれくらい売れたら、どれだけ作者さんの収入になるのか?」を考えるとき、基本的な仕組みを知っておくことが大切です。
一般的な印税率とその計算方法
紙の単行本における印税率は、通常「定価(税抜)の8~10%」が一般的な水準とされています。
たとえば、500円(税抜)の単行本が1冊売れた場合、作者に支払われるのは約40〜50円です。
この印税は、契約の際に出版社と取り決められるため、作家によって多少の差があります。
また、初版と重版で印税率が変わるケースもありますが、多くの場合は一律で設定されています。
実売部数と刷り部数の違いによる影響
紙の単行本では、「刷り部数(発行部数)」に応じて印税が支払われるのが一般的です。
たとえば1万部を刷ると決まった時点で、その部数分の印税が前もって支払われる仕組みになっています。
ただし、すべてが売れるとは限らず、実際の売上は「実売部数」と呼ばれます。
返品された分は販売と見なされないため、次回以降の増刷や印税交渉に影響を与えることもあります。
収入の例(売上部数別の試算)
実際にどれくらいの収入になるのか、以下のようなモデルで試算できます。
仮に印税率10%、定価500円(税抜)の単行本とした場合の事例は、以下のとおりです。
売上部数 | 単行本定価(税抜) | 印税率 | 印税収入 |
---|---|---|---|
1万部 | 500円 | 10% | 50万円 |
5万部 | 500円 | 10% | 250万円 |
10万部 | 500円 | 10% | 500万円 |
このように、売上部数が増えるほど印税収入も大きくなりますが、実際に何万部も売れる作品は一握りに限られます。
また、売れたとしても収入の支払いにはタイムラグがあることも多く、生活は決して安定的とは言い切れません。
電子書籍からの印税収入
紙の単行本と並んで、現在では電子書籍での収益も大きな柱になっています。
ここでは、電子書籍の印税がどう決まるのか、紙との違いや特徴を見ていきましょう。
電子と紙で印税率はどう違う?
電子書籍は、紙よりも印税率が高めに設定されていることが一般的です。
出版社を通す場合でも、15〜20%程度が相場となっており、紙(8〜10%)と比べて高い傾向があります。
さらに、作家が電子専門レーベルと契約している場合や、個人出版の場合には、30〜50%の高率になるケースもあります。
ただし、編集や販促・制作のサポートが限定的になるなど、契約形態によって収入の安定性は異なります。
プラットフォームごとの取り分と収益構造
電子書籍は、読者が購入する金額のうち、販売プラットフォーム・出版社・作者の三者で分配されます。
たとえばAmazon Kindleの場合、個人出版(KDP)であれば最大70%を著者が受け取れますが、出版社を通した場合は20%前後に落ち着くことが多いです。
また、各電子書店が設定するキャンペーンやセールによっては、実際の販売価格が下がることもあり、それに応じて印税額も変動します。
つまり、紙より印税率が高くても、販売条件によっては手取りが減るケースもあるということです。
電子ならではのメリット・デメリット
電子書籍には、在庫や返品の概念がないため、売れた分だけが確実に印税につながるというメリットがあります。
また、販売期間に制限がなく、長期間じわじわ売れ続けるロングテール型の収入が期待できます。
一方で、読者にとってはデータであるため所有感が薄く、紙に比べてコレクションやギフト用途には不向きです。
また、電子に強いプラットフォームや広告施策がなければ、そもそも作品の存在に気づいてもらえないという課題もあります。
紙と電子ならどちらが作者さんの応援になる?
「どうせ買うなら、できるだけ作者さんに多く届く形を選びたい」
そんな気持ちから、紙と電子のどちらが応援になるのかを知りたい方も多いかもしれません。
ここでは、印税率や収益構造を踏まえて、どちらがより支援につながるのかを整理します。
作者に多く還元されるのはどっち?
一般的には、電子書籍の方が印税率が高いため、1冊あたりの還元額も多くなる傾向があります。
特に電子専門レーベルやセルフパブリッシングの場合は、30〜50%と高い印税率を得ることも可能です。
一方、紙の単行本は印税率が8〜10%と低めですが、グッズ展開や書店での露出、読者層の広がりといった波及効果があることも見逃せません。
単純な印税額だけでなく、長期的な人気や話題性の広がりを後押しする意味で、紙が有利に働くケースもあります。
出版社や契約形態による個別差もある
とはいえ、最終的な作者への還元額は、「どの出版社と契約しているか」「どの販路を通しているか」によって大きく異なります。
たとえば、同じ電子書籍でも、大手出版社経由と個人出版では印税率に2倍以上の差が出ることがあります。
また、電子・紙いずれにしても、印税の支払い方法や締め日、増刷・セール時の条件などは契約書で細かく定められているため、一概には比較できません。
そのため、特定の作者さんを応援したい場合は、公式SNSや著作内のコメントなどで「この形が一番ありがたい」と明示されていないかをチェックするのがおすすめです。

イロ
具体的な還元額を知るのは難しいですが、ご自身にとって無理のない範囲で応援してみてくださいね。
作品購入以外にできる応援のかたち
もちろん、単行本を購入することは大きな応援になりますが、それ以外にも作者さんを支える方法はたくさんあります。
「今すぐ買うのは難しいけれど、応援したい!」そんなときの選択肢も紹介します。
1. 作者のSNSや公式活動をフォローする
多くの漫画家さんはX(旧Twitter)やInstagramなどで活動報告や作品情報を発信しています。
フォローやいいね、リポストといった日々のアクションが、作者のモチベーションや作品の露出に大きく貢献します。
特にSNS上での反応は、編集部や出版社が次回作・続編の可能性を判断する材料にもなりやすいため、思っている以上に影響力があります。
2. グッズ購入やイベント参加も応援に
作品によっては、アクリルスタンドやイラスト集、カレンダーなどのグッズ展開がされています。
これらの商品は、販売元や契約によっては印税とは別にロイヤリティが支払われる場合も。
また、サイン会や展示イベントなどに参加することで、直接的な応援やフィードバックの機会にもなります。
特に自主制作イベント(同人誌含む)では、売上がほぼそのまま作者の収入につながるケースもあります。
3. 感想やレビューの投稿がもたらす影響
「この作品、面白かった!」という率直な感想をSNSやレビューサイトに投稿することも、立派な応援のひとつです。
購入を迷っている読者の背中を押すだけでなく、アルゴリズムによって作品がより多くの人に表示される効果もあります。
レビューは、電子書店の販売ページに表示されることが多いため、直接的に購買行動につながる重要な要素です。
たとえ一言でも、あなたの感想が新しいファンを生むきっかけになるかもしれません。

イロ
以下の記事で解説している電子書籍サービスでは、作品ごとに多数のレビューが投稿されています。
どのような投稿があるのか、実際に確認してみてはいかがでしょうか?
まとめ:あなたの応援が作品づくりの力になる!
漫画を購入することは、作品を楽しむだけでなく、作者さんの活動を支える大切な行動です。
紙と電子で還元の仕組みに違いはありますが、どちらにもそれぞれの良さと応援の意味があります。
また、購入以外にもSNSでの反応や感想の投稿、グッズの購入など、できることはたくさんあります。
あなたの行動ひとつひとつが、次の作品づくりへの力になります。
これからも、好きな作品や作家さんと長くつながっていくために、自分なりの応援の形を見つけてみてくださいね。

イロ
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
応援の形は様々なので、ご自身なりの推し活を実践してみてくださいね。
なお、KIDUKE MANGAでは紙と電子、どちらが良いのかといった解説や、おすすめの作品やサービスを多数紹介していますので、ぜひご覧ください。